学資保険契約者貸付とは?制度の詳細と利用するメリットについて

子供の教育には何かとお金がかかるため、学資保険に加入してお金を準備している人も、多くいるのではないでしょうか。

子供にかかるお金は進学費などのある程度予想できるものだけでなく、思わぬ出費も考えられます。

  • ケガや病気で急に入院することになった
  • 留学に行かせるための費用を用意したい
  • 歯の矯正に費用がかかる
  • ひとり暮らしをさせるための準備

こういった急にお金が必要となった時には、学資保険の「学資保険契約者貸付」の制度を使って、保険に加入しながら貯めた保険金を借りられます。

学資保険契約者貸付は聞き馴染みのない制度かもしれませんが、金融機関で借りるよりも負担が少なく利用しやすいです。

この記事では、学資保険契約者貸付を利用するための条件や審査について、詳しく解説していきます。

そもそも学資保険契約者貸付とは?どんな制度か解説

学資保険などの「解約返戻金」がある保険に加入している人は、契約者貸付の制度を利用して、保険会社からお金を借りられます。

解約返戻金は、保険を解約した際に手元に戻ってくるお金のことです。

後に自分に戻ってくるお金の一部をあらかじめ借りるだけなので、銀行などのローンと比較して、借りるまでの難易度が低いです。

Webからの申し込みや、1回の電話ですぐにお金を指定の口座へ振り込んでもらえる保険会社も多いです。

ソニー生命の契約者貸付の場合、契約者用のWebページで借りたい金額と振込先の口座を指定すれば、確認でき次第すぐにお金を借りられます。

その日のうちにお金を借りられるため、子供のケガなどで突然お金が必要となった場合にも学資保険契約者貸付で対応可能です。

契約者貸付は学資保険だけでなく、生命保険でお金借りることも可能で、解約返戻金がある保険に加入していれば利用できます。

学資保険とはどんな保険?

学資保険は、子供の進学費や教育費に必要なお金を貯めながら加入できる保険です。
毎月保険料を払い、子供の大学進学といったお金がかかるタイミングで学資金を受け取れます。
また万が一、親(契約者)が亡くなった場合には毎月の保険料は不要で、学資金を受け取ることも可能です。

学資保険契約者貸付は審査なしで借りられる!

学資保険契約者貸付の大きな特徴に、審査なしで借りられるメリットがあります。

通常金融機関などでお金を借りる際には、本人に返済能力があるかの審査が厳しく行われ、保証人などが必要になる場合もあります。

銀行カードローンの場合、借り入れまでに1週間以上かかることも多く、急ぎでお金を用意したい時には向いていません。

借りる金額によっては収入証明書なども必要となり、書類の準備だけでも時間がかかります。

学資保険契約者貸付の場合は、保険料を払っていれば本人の返済能力に関係なく借りられるため、審査は不要です。

また審査が行われないため、借りるまでのスピードも早いです。

確実に即日で借りたいなら消費者金融カードローン

学資保険契約者貸付は保険会社の営業時間の関係などで、お金を受け取れるのが翌日以降になる可能性もあります。

特に夜間の申し込みは、翌日の対応へ回る場合がほとんどです。

消費者金融であれば審査は最短30分で完了し、近くのコンビニATMや無人店舗からすぐにお金を借りられます。

新規契約者に無利息キャンペーンを実施している場合も多く、短期間の借り入れに向いています。

消費者金融は金利が18.0%前後と高めのため、長期間利用すると思った以上に利息が膨らむケースもあるので気をつけましょう。

学資保険契約者貸付は低金利で利用しやすい!

学資保険契約者貸付を利用した際にかかる金利は、2.0〜3.0%ほどに設定されています。

大手保険会社10社の、契約者貸付の金利を比較したものがこちらです。

保険会社契約者貸付の金利(年率)
かんぽ生命1.5%〜2.5%
ソニー生命2.5%
フコク生命2.0%
アフラック2.75%
大同生命3.0%
日本生命3.0%
明治安田生命2.15%
第一生命3.0%
住友生命保険1.55%

銀行にある教育ローンの金利相場は、おおよそ2.8〜4.0%ほど。
比べると学資保険契約者貸付のほうが、低金利で子供のためのお金を準備できます。

各保険会社の金利は、保険の加入時期によって異なっているので、利用前に確認しておくのがいいでしょう。

借りたお金の利息は複利で計算される

学資保険契約者貸付を利用する際には、利息が複利で計算されます。

複利とは、借りた金額と利息の合計へ、さらに追加の利息がつく仕組みで、気づかないうちに返済額が膨らみやすい傾向にあります。

学資保険契約者貸付は低金利で利用できますが、なるべく短期間で返せるような返済計画が大事になります。

林裕二監修者コメント
複利でお金を借りるときは利息にも利息が付いてしまうため注意しなければいけません。通常の貸金では「単利(元金にのみ利息がつく)」ですが、学資保険契約者貸付制度は複利です。たがが数十万円の借り入れ、たかが数か月の借り入れ、と思っていても単利よりも速いスピードで利息が膨れ上がってしまいます。返済ができなければ子供の教育資金にも影響を及ぼす恐れがあるので注意してください。

学資保険契約者貸付で借りられる限度額は?

学資保険契約者貸付の限度額は、各保険会社によって細かく異なっているため、加入している保険会社に確認するのがおすすめです。

各保険会社の平均を見ると、解約返戻金の7〜9割ほどに設定されています。

解約返戻金契約者貸付の限度額(70〜90%)
200万円140〜180万円まで
300万円210〜270万円まで

限度額は各保険会社や契約期間によって異なるため、細かく知りたい人は加入している保険会社へ問い合わせするのがいいでしょう。

ここで注意しておきたいのは、解約返戻金の金額を超えないように借りることです。

解約返戻金以上のお金を借りている、返済が滞っているなどの条件が揃うと、保険の契約を解除されてしまいます。

子供のために貯めておいた保険金が使えず、進学費が足りなくなる事態は避けたいものです。

学資保険契約者貸付はあくまでも借金の一部です。

子供の将来のために貯めるお金なので、限度額がたくさんあるからとむやみに借金をせず、本当に必要なタイミングだけ借りるようにしましょう。

学資保険契約者貸付の借り入れは信用情報に残らない

学資保険契約者貸付でお金を借りても、個人の信用情報には残らないメリットがあります。

消費者金融や銀行でローンを組むと、信用情報にこれまでの借りた金額や返済履歴などが記録されます。

すでに他社で多額の借金をしている人や、延滞を繰り返している人は、この信用情報に記録され、今後申し込むローンの審査通過が厳しくなります。

自分の信用情報が悪い状態だと、住宅ローンなど人生に影響の大きい買い物でも、審査に落ちて購入できないといった事態になってしまいます。

学資保険契約者貸付はいくら借りても、返済が遅れていても、信用情報への記録はありませんので安心です。

学資保険契約者貸付でお金を借りるまでの流れ

学資保険契約者貸付でお金を借りるまでは、手順や用意する書類が少なく簡単です。

対応時間は各保険会社により差があるものの、午前中のうちに申請しておけば、即日でお金を借りられる可能性が高いでしょう。

お金を借りるまでのおおまかな流れは、このようになっています。

①契約者貸付を申し込み

まずは保険会社へ契約者貸付を申し込みましょう。
この際に、借りたい金額なども指定します。

申し込み方法は、Webサイト・電話・保険会社の店頭窓口などがあり、各保険会社によって異なっているので、あらかじめ確認しておきましょう。

電話申し込みの場合繋がるまでに時間がかかりやすいため、Web申し込みがあればそちらを選んだ方がスムーズに手続きできます。

②必要書類の提出

申し込みが完了したら、続いて必要な書類を提出していきます。

学資保険契約者貸付の申し込みにはこれらの書類が必要です。

契約者貸付の必要書類

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  • 保険証券(保険証書)

本人の身分を証明する書類と、保険を契約していると証明できる書類の2点があれば、問題ありません。

必要書類を郵送で提出する場合は、1週間ほど時間がかかります。

③指定の口座へ振込

ここまでが問題なく完了すると、指定の口座へ振込が完了します。
希望した金額通りに入金されているか、確認しておきましょう。

振込が済むと、保険会社から貸付の金額などを通知する郵便物が届きます。

家族や同居人に借金を隠したい場合は、郵便物が原因でばれる可能性もあるため、気をつけましょう。

どうしても郵便を止めたい人は、保険会社のオペレーターへ相談するのもひとつの手です。

学資保険契約者貸付は返済期限なし!自分のペースで無理なく返せる

学資保険契約者貸付には、基本的に返済期限がありません

金融機関のローンのように「◯日までに◯◯◯◯円の振込」といった指定もなく、自分のペースで返済ができます。

催促の電話がかかってきて、家族や会社に借金がばれるといった心配もありません。

ただし解約返戻金以上のお金を借りると、保険の契約が失効となるので、借りすぎないように管理しておく必要があります。

返済方法は、銀行・ATM振込、コンビニ払込票、Web決済などから選択できます。

契約者貸付に返済期限がある保険会社も

一部の保険会社では、契約者貸付の返済期限に制限があります。

かんぽ生命の場合、貸付期間は1年間の設定です。 

1年間を過ぎても返済が終わらない場合は、金利の引き上げやもらえる保険金額の減額などが行われます。

学資保険契約者貸付を申し込む前は、念のために返済期限が設定されていないか確認しておきましょう。

学資保険に影響を与えずにお金を借りる方法は?

学資保険は低金利かつ審査なしでお金を借りられる制度ですが、返済できなくなった場合に、子供に将来使うはずだったお金が無くなってしまうリスクもあります。

ただし子供がいる主婦の人はローン審査で不利になりやすく、特に専業主婦の人はお金を借りられる手段は数少ないです。

ここからはそういった人でも、学資保険を切り崩さずにお金を借りられる方法について紹介します。

ろうきんの教育ローンで借りる

ろうきん(労働金庫)には、銀行と同じようにローンなどのサービスがあります。

ろうきんでお金借りる際、教育ローンは限度額が最大2,000万円までと高く、金利も2.5%前後と低金利で利用しやすいです。

お金を借りられるのは労金の会員のみなので、会員でない人は最寄りのろうきんで契約手続きを行う必要があります。

配偶者基準で審査されるカードローンを使って借りる

専業主婦の人は本人に収入がない状態なので、カードローンで審査に通るのは厳しいです。

しかし一部のカードローンは配偶者に一定の収入があれば、専業主婦がお金を借りることも可能。

イオン銀行といったネット銀行のカードローンでは、専業主婦の人でも審査に通ると、50万円の限度額で利用可能です。

銀行カードローンの14.0%ほどで学資保険契約者貸付と比べると高めの設定ですが、現在加入している保険や貯金額がなくても、お金を借りられます。

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林裕二林裕二
2018年に2級FP技能士検定に合格後、AFP登録を実施。FPライターとして金融系記事をメインに寄稿するとともに、大手金融サイトで記事監修も開始。ファイナンシャルプランナーとして、読者に対して正しい情報を届けられるよう監修を行う。また、ファイナンシャルプランナーとしての専門知識に加え、ライターとして培ってきた知識を踏まえ、専門性の高い監修を行うことを心掛けている。