会社でお金を借りる方法

従業員貸付のある会社では、急にお金が必要になったときに会社からお金を借りられます。

家族の急な病気や子供の入学金が足りないなどの、どうしてもお金が必要な場面では、会社から借りられることを知っておくと有効です。

会社からお金を借りるとなると抵抗がある人も多いですが、従業員貸付は会社の福利厚生の一環として導入されているので、気兼ねなく利用できるのがメリット。

この記事ではそんな従業員貸付を利用する条件や流れを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
実際に会社でお金を借りたことがある人の体験談も掲載しています。

そもそも従業員貸付ってどんな制度?

就業規則の写真

従業員貸付制度とは、勤めている会社の決めた取り決めに沿って、従業員がお金を借りられる制度。

「社内貸付制度」や「社内融資」と呼ばれていることもあります。

会社内でのお金の貸し借りによるトラブルなどを回避する目的で、一部の会社では福利厚生として導入されているところも。

従業員貸付で借りられる金額や期間などの条件は、導入している会社ごとによって決められており、結婚式代や子供の進学費用などの理由で100万円単位で借りられる会社もあれば、10万円ほどの貸付に制限されている会社もあります。

勤めている会社の従業員貸付制度を利用する場合は、あらかじめ規定を確認しておきましょう。

金銭消費貸借契約書などの借用書を発行したり、審査時に必要な書類が会社により異なります。

従業員貸付は給料の前借りとは違う

従業員貸付は会社側が貸金業者のように細かな規定を定めてから、従業員にお金を貸す制度。

従業員貸付によって借りるお金は、自分の給料からでなく、会社のお金から捻出されます。

返済も一括で行わずに、月々一定の金額のみ返せばいいので、返済の負担が大きくなりづらいのがメリットです。

一方前借りの場合、借りた金額分は自分の給料から自動で引き落とされます。

そのため利用すると、翌月の生活費に回せるお金が減ってしまうので、計画的に借りましょう。

前借りは従業員貸付を導入していない会社でも利用OK

従業員貸付は福利厚生として用意されていない会社もありますが、給料の前借りは、緊急時にはどの会社でも利用できます。

労働基準法では、このような規定があります。

労働基準法第25条では、労働者が、出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、賃金支払期日前であっても、使用者は、既に行われた労働に対する賃金を支払わなければならないと定められています。

ここでいう「疾病」、「災害」には、業務上の疾病や負傷のみならず、業務外のいわゆる私傷病に加えて、洪水等の自然災害の場合も含まれると解されています。
(参照元:労働基準法第25条(非常時払)について

要約すると、どうしてもお金が必要な非常時の際には、自分の給料から前借りできるという意味合いです。

ここでの「非常時」には、出産・病気・地震や洪水などの災害への対応などの費用が含まれているため、いざとなったときには無闇に金利の高い金融機関でお金を借りる前に、会社に相談してお金を借りられると覚えておきましょう。

林裕二監修者コメント
給与の前借り制度は便利である反面「すでに労働した賃金分」しか借り入れできない点です。どうしても数十万円~数百万円の借り入れが必要になったとき、給与の前借りのみでは厳しい可能性が高いでしょう。また、原則として次に支払われる給与から全額天引きされます。その後の生活等を考えたうえで、どのようにしてお金を用意するか検討すべきでしょう。

従業員貸付はどのような理由で使える?

従業員貸付で会社からお金を借りるには、正当な理由が必要です。

具体的には、こちらのような例が考えられます。

  • 病気や怪我による入院費用
  • 出産費用
  • 地震や洪水などの災害に対応する費用
  • 冠婚葬祭でお金が必要
  • 引越し費用
  • 子供の入学費用、修学費用
  • 生活費

従業員貸付が使用されるタイミングは、生活上でどうしてもお金が必要となる場面です。

会社からお金を借りる際には社内での審議が行われるため、「ショッピングや旅行に使うお金が欲しい」といった、趣味や娯楽のために使う理由でお金を借りるのは厳しいでしょう。

仕事のスキルアップのために使うパソコンなどの備品や資格取得に必要な費用などは、申請が許可される可能性もあります。

借りたお金を自由に使いたい人は、消費者金融や銀行のカードローンを利用しましょう。

従業員貸付でお金を借りるメリットは?

様々な方法の中でも、金融機関ではなく、従業員貸付で会社からお金を借りるメリットは以下のとおり。

  • 低い金利で借りられる
  • 金融機関より審査に通りやすい
  • 返済の手間が少ない

それぞれ詳しく解説していきます。

従業員貸付でお金を借りると金融機関よりも低い金利で借りられる

従業員貸付を使って会社からお金を借りると、金融機関よりも低い金利で借りられます。

一般的な消費者金融カードローンと銀行カードローンの金利を比較すると、こちらのようになっています。

方法金利(年率)
従業員貸付1.6%
消費者金融カードローン※18%ほど
銀行カードローン※14%ほど

※各社によって細かな金利は異なります

従業員貸付の金利は1.6%と、かなり低めに設定されます。
消費者金融や銀行のカードローンと比較すると、10.0%以上もの差がある設定です。

例えば10万円を3ヶ月借りたとすると、利息はこのように変化します。
従業員貸付:394円
消費者金融:3,014円
従業員貸付の金利は、消費者金融の10分の1以上に低い金額となっています。

消費者金融が利用者にお金を貸した利息によって利益を上げるのを目的としている一方、従業員貸付の場合は社内のトラブル回避やお金がない従業員の救済を目的としているため、より低い金利になっています。

また会社によっては、返済期限を少し過ぎても融通がきくことも。

金融機関から借りて延滞した場合は、自分の信用情報に傷がつくため、今後申し込むローンやクレジットカードの審査で悪影響となります。

普段から仕事において信頼を得ていれば、多少返済が遅れるなどの事態にも対応してもらえる可能性があります。

会社が銀行から借りたお金を従業員に貸し付ける場合は、銀行と同等の金利となります。
会社から無利息で借りられない理由は税金がかかるため

従業員のためにお金を貸すのであれば、無利息で貸したほうがいいのでは?と思う人もいますが、それはできません。

会社から個人に支払われるお金は「貸付」の場合、課税されることはありません。

しかし利息を免除するなど従業員側に経済的なメリットが見られる場合は、所得税がかかります。

また個人が従業員に対して貸し付ける場合は、所得税でなく「贈与税」の対象となります。

贈与税は個人がまとまったお金を受け取った際に発生する、税金のことです。

たとえば社長自らが従業員に無利息でお金を貸す場合、従業員は「本来支払わなければいけない利息分が浮いた」ことになり、この部分が贈与税の対象となります。

社長から贈与されたとみなされることになるわけです。基礎控除が110万円あるため、よほど大きな金額でなければ心配はいりませんが、金額が大きすぎると税金が絡んでくる可能性があるため注意しましょう。

会社側は支払う税負担が大きくならないように、低金利でお金を貸すようになっています。

贈与税は会社だけでなく、親にお金を借りる場合も対象になるので注意しましょう。

従業員貸付には社内審査が必要!金融機関より審査に通りやすい

従業員貸付は会社内でのお金のやり取りですが、審査が必要になります。

審査といっても行うのは社内の人間です。

消費者金融や銀行の審査では、収入面や勤続年数、過去のローン履歴などの情報を元に、本人に返済能力があるかを厳しくチェックされます。

従業員貸付では会社の人間が審査可否を決定するので、借りる理由が正当なもので、普段から仕事や人間関係において信頼を積み上げている人は審査に通りやすいです。

過去に支払いの延滞を繰り返した人は、金融機関での審査に落ちてしまいます。
そのような人でも従業員貸付であれば、お金を借りられる可能性があります。

従業員貸付で借りたお金は給料から自動的に差し引かれる

従業員貸付で借りたお金は、給料から自動的に差し引かれて天引きとなるため、返済の手間が少ないです。

金融機関で借りると、返済日に間に合うように振込する手間や、給料日直後にお金を使いすぎて足りない…といったトラブルも考えられます。

従業員貸付ではそういった心配がないだけでなく、万が一延滞や返済できない状態になっても、自分の信用情報には傷がつきません。

従業員貸付を使って会社からお金を借りるデメリットは?

従業員貸付は会社の制度として低金利でお金を借りられますが、中にはデメリットもあります。

  • 社内での人間関係に影響が出る
  • 会社を辞めると一括返済しなければならない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

従業員貸付によって社内の人間関係に影響が出る可能性がある

従業員貸付の制度があったとしても、会社からお金を借りるとなると気が引ける人も多くいます。

実際に会社からお金を借りた経験のある人の声からは、このような意見があがっていました。

「お金に困っていると思われるため恥ずかしい」
「会社や労働組合に対してへりくだってしまう」
「生活費目的で借りると『何かあったのでは?』と噂になる」

特に多かったのは、会社に気を遣うようになるといった意見です。

お金を借りるのは決して気持ちのいいことではないため、今まで以上に遠慮がちになってしまうなどの人間関係への影響もありました。

従業員貸付の返済中に会社を辞めると一括返済しなければならない

従業員貸付の返済中に会社を辞めた場合は、退職の際に借りた金額を一括返済しなければなりません。

返済するまで会社を辞められないという、息苦しさを感じる人も多いようです。

また一括返済できるお金がなければ、急には会社を辞められなくなります。

長い人生においては、急な病気で働けなくなることや親の介護で実家へ戻らなければならないケースも考えられます。
そういったときにスムーズに会社を辞められないのは、従業員貸付のデメリットとなります。

従業員貸付は保証人が必要になる

従業員貸付を利用するにあたって注意しておきたいのは、「保証人」が必要になること。

お金を貸した従業員に逃げられてしまっては困るため、従業員貸付を行っている会社のほとんどは、連帯保証人の同意を必要とします。

連帯保証人とは
お金を借りた人が返済できなくなった際に、代わりに返済義務を負う人のことです。

ほとんどの人は連帯保証人となるのに抵抗があるため、家族や親しい同僚など関係の深い人に頼まなければなりません。

無理に頼むとトラブルに発展する可能性もあるので、注意しましょう。

会社によっては従業員貸付を申請する際に、労働組合の人が保証人になってくれるケースもあります。

実際に従業員貸付を使った人の体験談

ここでは会社からお金を借りた人の体験談を、確認してみましょう。

当サイトでは従業員貸付を使用した経験のある人10名にアンケートを実施しました。

借りた金額は10万円から2,000万円までと幅広く、様々な理由でお金を借りている人がいるとわかります。

これから従業員貸付の利用を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

Tさん(男性/39歳)の体験談
年収500万円
借りた金額100万円

当時リーマンショックの影響で会社の業績が大打撃、ボーナスが50%ダウン。
ローンで車を購入していたのですが、支払いが厳しくなり会社から100万円を借りました。

リーマンショックをきっかけに会社がお金を借りられる制度を導入したため、利用することに。

会社の福利厚生が充実しており、不測の事態にもすぐに社員を救済できる体制が整っていました。今での感謝の気持ちで一杯です。

Tさんの場合は、リーマンショックによる不況が原因で会社からお金を借りています。
今後も新型コロナの影響や自然災害などで、予測できない経済状況に陥ることも考えられます。

そういったときにも、柔軟に対応してくれるような会社を選ぶことも、重要となります。

Sさん(31歳/男性)の体験談
年収350万円
借りた金額30万円

自動車購入の頭金にするため、福利厚生制度を利用して30万円を借りました。

家や車の購入に向けて貸付制度を利用する人が多かったため、特に周りに噂になることはなく、評価への影響もありませんでした。

利用して感じたメリットは、利息が1.0%と格安だった点です。
銀行などで借りるのでは考えられないほどの低金利なので、まとまった現金が必要な際には活用できます。

返済期限が10ヶ月と短めだったのがネックですが、期限を超えても1ヶ月500円の利息が追加されるのみで、ペナルティも少なかったです。

Sさんは車の購入のために、従業員貸付を利用。
30万円を10ヶ月で返済しているため、1ヶ月の返済額は3万円と少し高めに設定されています。

Sさんのように返済期限に余裕のない会社でお金を借りる場合には、前もって返済計画をしっかり立てておかないと、期限までに返済できないとったトラブルが発生してしまいます。

Aさん(43歳/男性)の体験談
年収600万円
借りた金額2,000万円

マイホームを建てるために、会社から2,000万円を借入。

かなり大きい金額の借入でしたが、申請から10日ほどで融資を受けられました。
返済まで20年でローンを組みました。

低金利で保証人も不要だったので、利用しやすいのがメリットです。
ただ定年まで会社に縛られている感じがするので、少し息苦しく感じます。

規模の大きい会社だと、2,000万円といった高額な借り入れができる場合もありました。

借りる金額が大きくなればなるほど金利による負担も大きくなるため、低金利の従業員貸付で借りられるのは大きなメリットです。

定年まで転職せずに、会社で勤め上げる自信のある人は長期のローンを組むのもおすすめできます。


従業員貸付を利用した理由では、車や家の購入だけでなく、生活費や葬儀代なども見られました。

また体験談をまとめると、従業員貸付を利用するメリットとして「低金利」をあげている人が最も多くいます。

利用して後悔している人は少なく、最も負担の少ない形で借りられて満足している人が目立ちました。

ただし中には、息苦しさを感じる人や、同僚にバレるくらいなら貯金しておけば良かったという声もあります。

認められる用途や金額は会社ごとによって異なるので、気になる人は社内で確認しておきましょう。

従業員貸付より消費者金融カードローンが向いている人

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従業員貸付を利用すると、金融機関よりも低金利でお金を借りられるメリットがあります。
しかし従業員貸付には、お金を借りるのには向いていない理由もいくつかあります。

手軽にお金を借りることだけを考えると、消費者金融のカードローンの方が使い勝手がいい場合も多いです。

これらに当てはまる人は、会社でお金を借りるよりも、消費者金融カードローンの利用を検討してみましょう。

  • 即日でお金を借りたい
  • 自由にお金の使い道を決めたい
  • 会社の人にバレずにお金を借りたい

それぞれ詳しくみていきます。

即日でお金を借りたい

従業員貸付で会社からお金を借りるには、申請と審査で少なくても3〜10日ほどの時間がかかると予想されます。

中には1日でお金を貸してくれる会社もありますが、従業員貸付制度がすでに規定されている、他の利用者が多いなどの条件が揃っていないと、即日で借りるのは厳しいです。

消費者金融カードローンでは、最短30分ほどで審査が完了するのがメリット。
その後契約手続きを進めて、早ければ申し込みから1時間以内にお金を借りられます。

申し込み方法もスマホやインターネットからその場でいつでも申し込み可能です。

銀行にもカードローンがあるものの、審査が完了するのは最短でも翌日です。
銀行カードローンには金利が低いなどのメリットもありますが、少しでも早くお金を借りたい人は、消費者金融カードローンを選びましょう。
自由にお金の使い道を決めたい

会社からお金を借りるためには、どのように使うのか説明を求められます。

そのため遊びやギャンブルを理由にお金を借りるなんてのは、もってのほかです。

消費者金融カードローンの場合、お金の使い道は指定されておらず、原則自由です。
欲しかったものを購入するためや、住宅ローンやマイカーローンの頭金などの様々な用途に使用できます。

会社の人にバレずにお金を借りたい

従業員貸付を申請すると、少なくとも受理した社員にはお金を借りているとバレてしまいます。

また本来従業員のプライバシーは守られるべきですが、従業員貸付を利用したことを周りに言いふらされてしまう可能性も、ゼロではありません。

周りに知られずにお金を借りたい人は、誰にもバレずにお金を借りる方法もチェックしてみましょう。

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林裕二林裕二
2018年に2級FP技能士検定に合格後、AFP登録を実施。FPライターとして金融系記事をメインに寄稿するとともに、大手金融サイトで記事監修も開始。ファイナンシャルプランナーとして、読者に対して正しい情報を届けられるよう監修を行う。また、ファイナンシャルプランナーとしての専門知識に加え、ライターとして培ってきた知識を踏まえ、専門性の高い監修を行うことを心掛けている。